2016-04-18

義賊にはなれない

その昔、必殺裏稼業というゲームがあった。

名前の通り、必殺仕事人風の世界観ゲームだ。

表の顔は町医者という主人公二郎が、江戸の町の人々から恨みを買っている悪党情報を集めては、夜中に襲撃して始末するというのがこのゲームの流れだ。

昼間パート医者らしく町の人を助けて回ってお金をもらったり、情報を集めたりして、日が暮れると家に戻される。

パートでは襲撃を決行するか、準備ができていなければまた翌日の朝を迎える。

ところでこのゲーム、昼間にある店で買える<シジミの黒焼き>というアイテム質屋で売ると、購入時よりお金が少し増えるという仕様になっている。

江戸の町で困っている人や病人を探してウロウロしている最中にこのことに気付いてしまった鏡二郎は、

その日からシジミの黒焼きをせっせと転売する、シジミ売りに転職と相成った。

くる日もくる日も、何往復もしながらシジミ転売しつづける毎日。より速く、一往復でも多く、このシジミを(質屋に)届けたい。

道端で病や怪我に苦しんでいる老婆や町娘のうめき声は、もう鏡二郎の耳には届かない。

結局、数週間後に次のゲームを買うまで、一度も裏稼業に手を染めることなく、鏡二郎物語は、やり手のシジミ売りとして幕を閉じた。

せっせと稼いだ数百両という大金と引き換えに、民は病に苦しみ、江戸の悪は成敗されず、鏡二郎の手は血で汚れなかったのだ。

買ってきた新しいゲームディスクを入れ替えながら、

苦しむ他人放置することを良心が咎めるでもなく、自らの平穏と安定、収入の向上を望み淡々仕事を続け、

稼業というリスクゲームの中でさえ回避できるものなら徹底的に回避してしま自分性格を思い知って、

ああ、とても面白いゲームだったなあ、とシミジミと感じたものである

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