表の顔は町医者という主人公 鏡二郎が、江戸の町の人々から恨みを買っている悪党の情報を集めては、夜中に襲撃して始末するというのがこのゲームの流れだ。
昼間パートは医者らしく町の人を助けて回ってお金をもらったり、情報を集めたりして、日が暮れると家に戻される。
夜パートでは襲撃を決行するか、準備ができていなければまた翌日の朝を迎える。
ところでこのゲーム、昼間にある店で買える<シジミの黒焼き>というアイテムを質屋で売ると、購入時よりお金が少し増えるという仕様になっている。
江戸の町で困っている人や病人を探してウロウロしている最中にこのことに気付いてしまった鏡二郎は、
その日からシジミの黒焼きをせっせと転売する、シジミ売りに転職と相成った。
くる日もくる日も、何往復もしながらシジミを転売しつづける毎日。より速く、一往復でも多く、このシジミを(質屋に)届けたい。
道端で病や怪我に苦しんでいる老婆や町娘のうめき声は、もう鏡二郎の耳には届かない。
結局、数週間後に次のゲームを買うまで、一度も裏稼業に手を染めることなく、鏡二郎の物語は、やり手のシジミ売りとして幕を閉じた。
せっせと稼いだ数百両という大金と引き換えに、民は病に苦しみ、江戸の悪は成敗されず、鏡二郎の手は血で汚れなかったのだ。
苦しむ他人を放置することを良心が咎めるでもなく、自らの平穏と安定、収入の向上を望み淡々と仕事を続け、