2016-02-06

超能力者たちの住まう街に生まれ

僕は超能力者たちの暮らす街に生まれた。

小学校から今まで、やさしい能力者達に取り囲まれていた僕は彼らの超能力意識することはなかったのだが、ふとしたきっかから自分無能力者であることに気づいてしまう。

彼らの超能力は以下のような特徴を持っている

  • 彼ら能力者達は「他人こころ」が読める。テレパシーだ。こころを読み合うことによって話題を選びコミュニケーションを図っていく。他人にはどのように見えているのか、何を考えているのかがわかる。だから自分相対的評価も可能になるし、多かれ少なかれ自分に自信を持っているようだ。
  • 彼らは言われていないこと、文章に書かれていないことが理解できる。だから、言われなくても配慮ができるし、「行間」などという「見えないもの」が見える。
  • 彼らは事実より優先する「見えない力」に縛られている。だからハゲている人に向かって「頭髪が一層薄くなりましたね」とは言わない。不可解なその力が及ぶ範囲は広い。
  • 彼らは「話を聞きながらメモを取る」などという超絶技巧をやってのける。まるで千手観音のように手が複数あるかのような振る舞いをする。
  • 一方、彼らの興味は散漫でまったく「こだわる」と言うことが無い。また、日常生活の何気ない場面で数字に目を配ったり覚えていたりしない。だから彼らはアッサリとしていて面白みが無いとも言える。これが彼らの唯一の弱点と思われる。



なお、その当時の社会において、彼ら超能力者は「健常者」と呼ばれ、我々の一団は「発達障害」という名で呼ばれている。

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