何通もメールを交換した。
何度か食事をして、夜も一緒に過ごした。
気になるところはあるけれど、いい子なので彼女をもっと知っていきたい。
私にはそれまでに、決断しなきゃいけないことと、伝えなきゃいけないことがある。
まず、結婚。
いや、結婚は早すぎるにしても、交際を続けるかどうかだ。
私は(今のところ)彼女を奥さんにしたい女性だと思っているし、実際、そのポテンシャルもあると読んでいる。
もし、この3か月が充実しなかったら、別れを切り出すつもりだ。
逆にもっと彼女のことが好きになったら、これからもよろしくと伝え、彼女を送り出したい。
つまり、3か月後に付き合い続ける/別れるの決断を下す義務が私にはあるのだ。
そして、彼女に伝えなきゃいけないこと。
それは「病気」のことだ、
私が重大な病気を患っているわけではない。
このことがなかなか言い出せない。
大人になった今でも、兄弟が実は難病だった、なんて公表するのはどこか恥ずかしく、負い目を感じる。
自分の実の兄弟なのに、障碍者に対して理解がなく、どこか他人事のように思ったまま大人になってしまった。
家系で発病したのは兄弟1人だけだが、もしかしたら私は保因者かもしれない。
家庭をもちたい、と言う彼女を目の前にして、私はこの事実を言い出せない。そんな勇気はこれっぽちもない。
この前ベッドで言われたあの言葉。
「弟の写真、見せてよ」
結婚というゴールをはずせないなら、病気のことは今自分から話すか後でばれるかの選択だよ。 知られないという選択肢はないと思ったほうがいい。 とにかく、幸あれ。