先日、とある2次元アイドルオタクの方が担降りした旨を知った。
「担降り」というのはつまり「そのアイドルのファンをやめる」といったような意味合いのオタ用語である。諸説あるがここでは割愛する。
その方を仮にAさんとしよう。Aさんが並々ならぬ情熱を2次元アイドルに注いでいたのは周知の事実であったため衝撃的な出来事であった。
私は、3次元アイドルは10年超、2次元アイドルは3年近くファンの、自分で言うのもなんだが筋金入りのアイドルオタクだと思う。自分が担降りすることなんで現段階では全く考えられないが、先に述べたように今回の出来事が衝撃的でいろいろと考えさせられた。
Aさんは、2次元アイドルに会いたいという気持ちがなくなったから担降りしたのだそうだ。
まぁ、確かに彼らは存在しない。便宜上存在しないという表現を使用するが、正確に言うと存在はしているが会えない。この日本中、いや世界中、どこを探し回ったって会うことはできない。しかし、それは2次元も3次元もあまり変わりないと私は思うのだ。
アイドルという存在はその名の通り偶像だと思う。キラキラとした笑顔を振りまいて、愛想よく、裏側はあまり見せようとしない。でも考えてみて欲しい。そんな人本当に存在するのか?と。
いつも笑顔で、愛想がよくて、裏表の全くない人。いないことはないが、そんな人は稀である。大抵の人は笑顔でいられない時もあるし、機嫌が悪い日もあるし、黒い部分だって持っている。私だってそうだ。もちろんアイドルも常に笑顔でいるわけではなく、思ったことを割となんでも口に出す人もいるが、それでも笑顔や愛想の良さを求められる世界であると思う。
つまり何が言いたいのかというと、私たちが普段見ているアイドルというのは偶像的な姿であって、本来の人間性そのものというわけではないということである。だからある意味では3次元アイドルだって存在していない。これはあくまで持論だし、私もこの考えがすべてのアイドルに当てはまるとは思っていないことをわかってほしい。
2次元アイドルは最初から存在していない。3次元アイドルもある意味では存在していない。存在していないと分かっているのに彼らの背中を追いかけずにいられないのはなぜだろう。それは私がオタクだからだと思う。好きだから、その気持ちだけで10年近くアイドルオタクとして生きてきた。そしてこれからも、存在しないと分かっている彼らの背中を追い続けるのである。