2015-04-11

申し訳程度の胸

私の職場には増田増美(仮名)さんというとてもいい匂いのする女性がいる。

増美さんの声は声優内田彩さんに、顔はカレーパンマンに似ていてとてもかわいい

着ている服はパステルカラー基調としたもので、増美さんのやわらかく明るい性格に合っていてとてもすばらしく、雨の日でも私たちテンションを上げてくれる。

増美さんはこんな童貞の私にもいつも笑顔で話しかけてくれる。

「またそんなところ突っ立ってるんですか!」(おお、なんと卑猥なことば……)

そんなすてきな増美さんだが、ひとつ問題がある。

胸が申し訳程度なのだ

斜めのアングルから見るとよくわかる。

出ていないわけではないのだ。

申し訳程度の丘がそこにはあった。

だがなんだろう。

とても不安になる。

あ……申し訳程度だ……と私は思った。

それはちょうどパラボラアンテナあるいは鍋のふたのような曲面を描いている。

ふむ。

しかにないわけではない。

緩やかな曲線がそこにある。

あることにはある、隠そうにも隠せないほどにはあるのだが、隠したくなるサイズなのだ

増美さんは申し訳程度の胸を恥ずかしがっているかもしれないが、やんわりと主張してくる申し訳程度の胸なので、むしろ巨乳よりも目がいってしまう。

「私に気づいて」と申し訳程度の胸はささやいているわけである

ぺったんこの無乳にたいしては私たち紳士然と完全スルーを決め込むだろうし、巨乳に対してはむしろまじまじと見るのは不躾なため私たち童貞は目を逸らしがちである

だが申し訳程度の胸に対して、その胸の「気づいて」というささやきに私たちはあらがうことができない。

つぎの瞬間には消えて無くなっているのではないかと不安になるからなんども確認してしまう。

あ、まだあったと私は安心する。

だが安心した瞬間につぎの不安に襲われる。

もしかして次の瞬間には消滅しているのではないか?

だが安心してほしい。

もう一度見てみるとやはり申し訳程度の胸はそこにあるのだ。

なかなかしぶとい。

しかし私がなんども見ていることによって、その視線の矢で申し訳程度の胸がへこんでしまうのではないかという危惧に襲われることもある。

私の次の視線が増美さんの胸の最後の瞬間になってしまうかもしれない。

そう考えると私は増美さんを見ることが恐ろしくなってくるのだが、「私に気づいて」というささやき声が聞こえるためどうしても私は増美さんの申し訳程度の胸を見ないわけにはいかないのである

私たち童貞が見ないで誰が彼女申し訳程度の胸に気づいてあげられるのだろう。

繊細な童貞からこそそのささやきに耳を貸すことができるのである

ただ、童貞はなにかができるわけではない。

私たちは見守ることしかできない。

来週もまた私は申し訳程度の胸を見守るだろう。

そこにまだあると確認するために。

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