一つ上の元恋人から突然「子どもを授かった」という連絡が来た。もちろん僕の子どもではない。
彼女は一つ上といってもまだ21歳で、就職活動に失敗して今はパートタイムに近い形でどこかの会社に勤めていたと思う。どうやらそこで出会った男性と付き合い始め、交際8ヶ月足らずで子どもを授かったそうだ。少し非難めいて彼女の境遇について書いてしまったが、彼女の今の生活についてとやかく言うつもりはないし、実際本人も幸せそうなのでよかったと思う。彼女は嬉しそうに子どもに何と名づけようか、と悩んだり、相手の男性のことを「だんな」と呼んでみたりと、まぁ、そういう風に幸せそうなのだ。
しかし、彼女のその境遇と、なんだかなし崩し的に決めたように見える結婚と出産に、僕はなんとなく違和感を覚えた。懐妊を伝えられたときに、祝うことも出来ずに「気持ち悪い」と感じてしまったのだ。
昨今、まぁ二十歳にもなれば性交渉を行うことなど珍しくもないし、お互いに快感を伝え合うことは、さぞ良いものなのだろう。しかし、動物的な衝動に身を任せた結果を受け、さも社会的生物です、といった風に子供を生んで結婚して、正直僕はそれを手放しで祝福できるほど、人間として成長できていなかった。
何度も言うように、他人の人生についてとやかく言うつもりはない。ただし、自分の人生についてもう少し思慮深く考えたほうが良いのではないか、と自身の潔癖症を再確認しつつ思っただけのことだ。