人生で数えるほどしかない、路チューの現場を目撃してしまった。自宅のすぐ近くで。
走ろっかなと日課にしているジョギングのために、アパートを出てT地路を右に曲がってよし、行こう、としたときに
ばったりと現場に遭遇してしまった。一度着いた加速は止まらない。
というよりも気が動転してそのまままわれ右とできなかったのが正しい。目を離すこともできなかった。
おかげで右を抜ける三秒間、しっかりと抱き合ったまま離れない二人をいやおうなしにじっくりと見てしまった。
男性の顔はわからない。でも、夜目だけど髪型は凡庸でそこらの社会人だった。スーツだったし。
女性の横顔は少しだけ、見えてしまった。綺麗かどうかまではわからない。
でも、電車で座席を変わっても五秒後には忘れてるだろうなと思った。
自分とそれほど身長は変わらなかった。足もとに忘れられたように転がっているバックと鞄がいやらしかった。
私の住んでいるところは、ちょっと飲み屋は多いけど、大学キャンパスにほど近くて、美容師がたくさんいて、
学生の活気が絶えない、それなりに閑静な郊外型の住宅地だとは思ってる。その中心で・・・
ストップウォッチ代わりの時計を見た。まだ七時を少し過ぎたばかり。
数少ない昼ドラの記憶からあてはまるものを探してみた。どうして、待てなかったの、。。よくわからない。
忘れようとペースを上げたら顔のほてりがいつまでも止まないわ、息はそれでもたえだえになるわで大変だった。
いつもの周回コースは五分早く周ってしまって、まだいるかもしれないと余計に一周した。
六十分かけて家の前の露地に帰ってくると、二人の影はさすがに消えていた。。。
もしかしたら、電信柱の電灯の影に隠れているのかもしれない、泣きそうになって飛び込む勢いでアパートまで走りきった。
深夜に新宿とか歩いてれば普通にたくさん見つかるがー。 路チューってそんなに珍しいんか? 炉チューは見たことないけど。てかそっちが見たい。