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2013-12-21

本棚でかまそう

リビング横山光輝三国志を読み返していると、嫁が言った。

「来週月曜日学生時代の友人を招こうと思うの。いい?」

「いいじゃないか」僕は言った。

だって嫁が友人を連れてくるなんて滅多に無い。

滅多に無いことを提案されると、嫁が僕への主観による決め付けを少し緩和させているような気がして嬉しくなる。

そうやって僕がうきうきしていると、続けてこう言った。

「で、リビング本棚なんだけど・・・

黄漢升が夏侯妙才を討ち破るという華々しいシーンを片手に、本棚を見ると、まず「ヤバい経済学」、「日本クレジット総論」という文字が眼に飛び込んできた。

次に「漫才入門 ウケる笑いの作り方、ぜんぶ教えます 元祖爆笑王」と「俳優仕事」という背表紙認識した。

なるほど。そういうことか。

嫁は友人に対して、僕をかっこよく話しているのかも知れない。それは夫として嬉しいことだ。

そんなかっこいい夫が、死ぬほど必死お金を稼ぎだしてやろうと燃えている姿や、その為に笑いや演技を真剣に学ぼうとしている姿を友人たちに連想させてしまうのは彼女プライドに触るのかも知れない。

僕のプライドをどこかで護ってくれている嫁に対して、僕は彼女プライドを護る義務感が芽生えた。つまり本棚でかまそうと決めたのだ。

まず、持ちうる限りの岩波文庫講談社学術文庫ちくま学芸文庫を並べた。リビング本棚は小さいのですべて埋まった。

これは完全にかましている。素晴らしい。

そして、嫁に告げた。「ねえ、本棚を見てごらん?」

一瞬の沈黙の後、彼女は首を振りながらこう言った。

違和感があります

確かに、教養本だけがリビングにあるのは生活臭が薄い。

ふーむ。それならば趣味を少し加えてみよう。僕の場合将棋短歌がある。

将棋短歌需要が少ないので、名著と言われる本でもすぐに絶版になる。

絶版になった本は、定価千二百円ぐらいのものだが、神保町八木書店アカシヤ書店という若干お高い本屋で一万円以上出して買った事もある。嫁にはとても言えない大切な本だ。

本棚は五段に分かれているのだが、岩波文庫たちは下三段に押しやり、上二段を将棋短歌で埋めた。

完璧だ。これで仕事も遊びも完璧な夫だ。

「うーん。そういうことじゃないんだよね。どうして分からないのかなあ」

なんだ。ぜんぜん分からない。

遊びをもっと入れた方が良いのか?

思い出せ、友だちの家の本棚を。

そうだ。もっとストレートマンガがあった。

僕もマンガは好き。ああ、そう考えると結構気取ってたな。ああ、すみません

でも、特攻の拓や、カイジや、三国志なんかは少し違うんだろうな。よく分からないけどきっと。

それならばと、一二段はSLAM DUNKワンピースで、三四段目は将棋短歌。五段目に岩波文庫講談社学術文庫を並べてみた。

割と他人の家でまあまあ見かけるラインナップになってきた。

オーケー、分かりました。当日わたしがやっときます

こんな感じで、結局正解が分からず、別の主観による決め付けが嫁の脳内に生まれてしまう結果となった。

本棚の見せ方について、言及しているひとを知っている方は教えて欲しい。

 
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