2024-04-24

240億キロ離れたトラブルシューティング


ボイジャー1号の問題が1つのチップに起因することを突き止めたNASAのチームは、コマンドを送ってコンピューターシステム再起動を試み、根本原因を探ろうとした。

3月1日にコマンドを送ったところ、同月3日になって、飛行データシステムの一部に、解読不能データとは違う挙動があることを発見。この信号は、飛行データシステムが正常に機能しているかどうかを判断するために使っていたそれまでの形式ではなかったものの、NASAディープスペースネットワークで解読することに成功した。

この内容を調べた結果、問題の原因が判明。飛行データシステムメモリの3%が破損していたことが分かった。システムメモリの一部を保存していたチップが、同コンピューターソフトウェアコードの一部も含めて正常に作動していなかった。チップ不具合の原因は不明だが、劣化した可能性や、宇宙空間からエネルギー粒子が衝突した可能性が考えられるという。

科学データ工学データの解読ができなくなったのは、このチップに保存されていたコードの損失が原因だった。

このチップを修理する手段がなかったこから、同チームはこのチップに保存されていたコードを同システムメモリの別の場所に移すことにした。全てのコードを保存できる区画は見つけることができなかったが、コードをセクションに分割して、それぞれ飛行データシステムの別々の場所に保存することに成功した。

計画を進行させるためには、こうしたコードのセクションが引き続き全体として機能することなどを確認する調整作業必要だったとNASA説明する。飛行データシステムメモリの別の部分で問題コード場所を参照している箇所も更新する必要があった。

ボイジャー1号の工学データパッケージ化に必要コードを見極めた技術者は、同システムメモリの新しい場所を指し示すコードを4月18日に送信。この信号ボイジャー1号に届くまでに約22.5時間地球に反応が戻ってくるまでにさらに22.5時間を要した。

20日、ボイジャー1号から届いた反応は、コード修正成功し、再び解読可能データを受信できる状態になったことを表していた。

その瞬間、NASAジェット推進研究所拍手と歓声に包まれた。

今後も同システムソフトウェア問題が起きた部分を別の場所に移す作業継続し、数週間後には科学データを受信できる見通し。

ボイジャーにこれから何が起きるかは分からない。それでも飛行を続けて私たちを驚かせ続けている」「数多くの異常が発生して次第に困難になっている。それでもこれまでのところ、幸運にも復旧できた。ミッションは続く。若いエンジニアボイジャーチームに加わってその知識を生かし、ミッション継続させている」。ボイジャープロジェクトマネジャースザンヌ・ドッド氏はそうコメントしている。

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