2017-12-25

あなたが好き」と「あなたのことが好き」の違い

日本人がよく「が好き」の代わりに「のことが好き」と言うということに気が付いたことはありますか? 「好き」と「が」をすでに知っている方であれば、ただ誰かが好きだというだけのために、余計な数語を口にする人がなぜいるのだろうと、疑問に思うかもしれません。この記事では、「のことが」及び、なぜあなたもそれを使いたくなるであろうかについて、お話します。

ざっくり言うと

本題に入る前に、基本的なことをおさらいしておきましょう。まず、「好き」は "likable" を意味する形容名詞です。これは "like" にあたる最も典型的単語で、ロマンチック意味でも、それ以外の意味でも使うことができます。人にも物にも使うことができます。次に、「が」は主語を表す格助詞です。「好き」のような形容名詞と共に使われる場合、その形容名詞形容するものを表示します。

例えば、アミとカイがデートをしていて、カイが「好きです」と言うところを想像してください。この場合、カイは "I like you" と言っています。でも、もし主語指定したい場合は、直前に「名詞+が」を置いて、「犬が好きです」("I like dogs")と言うことができます

まり相手名前、それか、少しドラマチックに、あるいはロマンチックにしたければ、「あなた」と言い、続けて「が好き」といえば、相手が好きだと伝えることができます。ではなぜ、わざわざ「のことが好き」と言うのでしょうか?

実は、この二つは意味の上では同じなのです。しかし、後者を好んで使う重要理由があります曖昧性なさです。

実際、「あなたが好き」は曖昧である場合があります。状況によっては、"I like you" かもしれませんし、"you like it"かもしれないのです。なぜかと言うと、「好き」の逐語訳は "to match the feelings (気持ちに合う)"だからです。何かが主語にあたる人の気持ちに合うのかもしれないし、あるいは、相手が話者の気持ちに合うのかもしれません。この曖昧さの原因は、"I like you" と言うとき、両者共に感情を持っているからです。うん、で、誰の気持ちに合うって? 「話者の気持ちに合う」と言いたいのなら、「あなた」つまり相手が話者の気持ちに合うのでしょうし、「相手気持ちに合う」のであれば、気持ちに合うのは何か他のものということになります

この曖昧性は、主語が人ではなくモノである場合には生じないことに注意してください。主語感情のないモノだとすれば、二つのうち一つの可能性を消去することができます。例えば「映画が好き」は曖昧ではありません。なぜかというと、映画気持ちを持たないからです。話者が映画が好きだということが明白です。

では、主語が人だったら、どうやってこの曖昧さをなくすことができるでしょうか? 例の曖昧な文をもう一度見てみましょう。

繰り返しになりますが、「あなた」は人であり、感情があるということが問題で、そのため、読み方が二つあることになるのでした。"I like you" と "you like it" です。

そこで「のこと」があります。この二つの単語任意名詞に繋げることができ、概ね "things about" を意味します。したがって、「あなたのこと」は "things about you" となります。実際の文ではどうなるかみてみましょう。

"I like things about you"。これは曖昧ではありません。"things" は感情を持たないので、 "things about you like it" はあり得ないのです。

「が好き」と「のことが好き」はどちらも "like" という意味で使われますが、もしその好きなものが人であるならば、後者が好まれます。なぜなら、曖昧性がないからです。

https://nihongotopics.wordpress.com/2017/12/23/ga-suki-vs-no-koto-ga-suki/

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