2015-03-15

反差別多様性を殺す

http://pokonan.hatenablog.com/entry/2015/03/14/231545

これとそのブコメを読んで考えたことを書く。


反差別を掲げる人たちは、自分たち多様性を認める世の中を作るのだ、と言う。

行政や、電波を寡占するテレビ局などを相手にそれを言うなら、まだわかる。

彼らは権力でもって(極端には選挙権制限したり)、価値観多様性存在し得る基盤自体破壊することができるからだ。


だが同じ批判を、ネット上の、ひとつ漫画サイトに向けることができるだろうか。

ウォルターブロックという人が、"Defending the undefendable"という著書で次のようなことを書いていた。

黒人がバーに入店することを行政が禁じたら問題であるしかし、バーの経営者が、自分の店を白人以外お断りにすることには問題がない。

というのは、黒人以外お断りのバーや、何人でも自由に入れるバーも同時に存在することができるのだから

万が一、すべてのバーが白人以外入店禁止になったとしても、その場合、他の種類のバーを起業することで、その需要を独占できるのだから

チャンスに目敏い起業家はこれを逃すはずはない。結果として行政が何をせずとも、多様性が失われることはない。

しろ行政白人以外お断りのバーを禁止した場合白人だけでバーで飲みたいという人たちの楽しみを奪うことになる。


これは人種差別が例であるから、極端な考えに思われるかもしれない。反射的に拒否感を覚える方もいるだろう。

私はこの例自体には賛成とも反対とも述べるつもりはない。だが理屈としては、私が今回言いたいのはこれと同じだ。

comico同性愛表現を自らのサービスから排除したところで、それらがネットから排除されるわけではない。

一方で同性愛表現を認めないサービスがあり、もう一方では認めるサービスがある。それでいいじゃないか?多様性とはそのようなことだろう?

冒頭でURLを記したブログの主張を敷衍した先にあるのは、ヘテロ性愛作品は(あるいは同性愛作品は)ちらりとも見たくない、といった種類の要望抹殺された世界である

その世界では、ヘテロ性愛作品同性愛作品も同様に扱うサービスけが残る。性愛だけではない。

暴力表現も、障害の表現も、社会問題視され得るおよそ考えられる限りの表現の扱いは、全ての漫画サイトで同様なものになるだろう。

その世界はある種の人たち(おそらくはリベラルと呼ばれる)だけにとって健全化された、その意味価値観の一様な世界だ。

反差別多様性を殺すのだ。

  • じゃあ、あらかじめ「うちは同性愛表現お断りなんで」って表明してればいいじゃん。 「性差別禁止」とか言ってないでさ。 どう見ても「サービスとしての差別化」ではなく「過剰な自...

  • 私を差別してくださいってことね とりあえず住所と名前晒して

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