「髪の毛を濡らしま~す。」と移動式のシャンプードレッサーの中に頭を入れられているときだった。
「明日からスーツ着て仕事だから、耳を出してさっぱりとしてください」というオーダーを起点として、会話が連鎖を始めた。
「これはよかったね」
「いや、そんなによくないんですよ。東京で就職する予定だったのが、地震の影響で地元での就職になっちゃて」
「転勤が中止になったの?」
「東京の建築デザイン事務所から内定を地震を理由に取り消しされちゃって」
「あらら」
「でも、先週、地元で面接を受けてみたら、来週からすぐにきてくれとトントン拍子に話が進んでしまって、ひとまず、その会社で何年かがんばってみることにしました。」
「とりあえず、よかったね」
「これから東北のほうで、失業者がかなり出る可能性があるし、決まっただけ、よかったです。」
「午前中にきた大工さんによると、建材のほとんどが被災地向けに仕向けられて、仕事をしようにも材料がないんだってね。ユニットバスも合板も秋までないとかで、困っていたよ」
「建築関係の大学に行っていたので、そんな噂も聞いています。一儲けしようと考えている人もいっぱいいるそうですしね」
「へー、建築関係なのかい。地元で決まった仕事もそちら関係かい?」
「羽毛ふとんの訪問販売している会社みたいです。人間、寝ないわけにいかないので、けっこう安定していると思うんですよ」
「パソコンの腕を買われて、デザイン職で採用されたので、腕を磨いたら、また、東京を狙うつもりです。給料は安くても東京のガラス張りの眩いオフィスで仕事のはずだったので、夢は諦めたくないですね。」
・東京の会社で地震を理由として、内定の取り消しが横行しているかも。
・若者のWannaBeを原動力にして商売しているところが東京にはまだ存在する。
・建築資材の入手が困難になりつつあり、被災地以外の仕事にも支障が出始めている。
それうちのことだわw ついでに言っておくと、地震があったのでとりたくもない新卒を断り安くなったよ