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2024-11-23

古河絶水『かくて謀反の冬は去り』(ガガガ文庫)を読む。

あらすじからしシェイクスピアの『リチャード三世からいろいろ拝借してきたもので、タイトルシェイクスピアを読んだことある人は手に取ってくれるかもしれんとつけられたものだろう。著者が好きなだけかもしれんが。

設定や大枠はリチャード三世から来ているものの、ストーリー自体はリチャード三世のものではないし、実際のイギリス王室史やら、リチャード三世善人説やらを取り入れつつ、(わたしの思う)ラノベらしくさっぱり目に仕上がっていて大変によろしい。

しかしやっぱりキャラクターの作り方は、古典に学ぶのが一番であるなあと思う。この手の人間のイヤラシさが満載の宮中陰謀もの特にリチャード三世が下敷きにあることが読者にも了解されていれば、登場人物動機の根の深さを思わせてくれるので、これは大変に良い発見だった。

ちなみに著者は、シェイクスピア知名度たかラノベ作家自分最初最後かもしれない、とあとがきで書いていたが、それで思い出したのが、その昔、ガガガから出た樺山三英ハムレットシンドローム』という本。まああれは久生十蘭ハイナー・ミュラーを混ぜて衒学趣味ふりかけた上に(わたしが思う)ラノベらしさの微塵もなく作り上げられたものだったのだけれど。

 
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