はてなキーワード: フリーソーメンとは
ソーメンやの半田くんがソーメンをくれた。
香川くんが言った。
「フリーソーメン!」
香川くんは『げっかんムー』のさいしんごうをひろげながら、半田くんとぼくにおしえてくれた。
「ひみつけっしゃのことさ」
ひみつけっしゃって、なんだろう?
ぼくは「ひみつけっしゃ」のいみを香川くんにたずねた。
「グループ?けっしゃってなに?」
「うーん…」
しばらくして、香川くんはこたえた。
「なかまっていみだよ」
香川くんは、なんでもしっているんだ。
ぼくもたくさん本をよんで、たくさんべんきょうして、香川くんみたいになりたいな。
「じゃあ、オレたちも、ひみつけっしゃ?」
香川くんは「そうだよ、ボクたちもひみつけっしゃ」とこたえた。
「香川くん、これはフリーソーメンじゃなくてフリーメーソンってよむんだよ」
ぼくはふたりに言った。
「ぼくたちは、ひみつけっしゃだよ」
ソーメンのゆだつにおいがしてきた。
「ぼくたちは、ひみつけっしゃフリーソーメンだ!」
半田くんはソーメン屋を継ぎ、香川くんはうどん屋になったという。
あわただしく過ぎて行く毎日。
母からのメールには「もうすぐお父さんの七回忌ね。こっちには帰ってくるんでしょ?」とあった。
もう父さんの命日か。
幼い頃は大きく見えた町も狭く見える。
こんなにも小さな町だっただろうか?
日差しが眩しい。
夏だ。
夏が来たのだ。
「おーい!」「おーい!」
遠くから声がした。
僕は振り返る。
懐かしいあの声。あの覆面。
僕は帰ってきたのだ。
ぼくたちは、ひみつけっしゃフリーソーメン。
ぼくたちは、なかま。
いつまでも、なかま。