学生時代好きだった、幼馴染のような関係性の男の子の名前が二文字で、そのうちの一文字を勝手に貰って名付けたペットが死んだ。
学生時代好きだった、と言ったが、私は彼に告白したいだとか彼氏彼女になりたいだとか、独り占めしたいだとかいう感情はまるでなかった。
心地の良い距離感が大好きだった。同じ場所で何を話すでもなく、バラバラな行動をしているのにソワソワしたり何か話さなきゃ…という煩わしい気持ちになることがない人だった。
そんな彼と離れ離れになったのは大学進学の折だった。彼は彼の両親と共に都会の大学に進学したから、地元に帰ってくるということがなくなり、地元の大学へ進学した私とは関わりが切れた。
そうしてそのまま過ごして、彼氏を何人か作ってみたけどやっぱりあの心地の良い時間はずっと忘れられないままで、心の中の一番の場所にはずっと彼が居座ったまま、私は社会人になった。
ひとり暮らしを初めて慣れてきたころ、ペットショップで見つけたかわいい子を連れて帰った。名前は彼から勝手に一文字もらって付けた。
ペットを彼だと思って育てたりなんてことはなかったけど、口触りが良くて響きが好きな漢字だったから、名付けた。何もかもが後付けでこじつけの理由なんだろうけど。
彼が好きだからその単語の口触りが良くて、好きな漢字になっていたんだろう。
もう二度と私はこの愛しい名前を呼ぶことが出来ない。呼ぶ相手もいない。もうどこにも。
彼にもペットにももう二度と会えない。私は好きな名前を好きなものに付けることで、同じくらい大切に思っていたものを二度も失うことになったのだ。
ちょっとお〜コメきつすぎ! 。。。でもないな アウト