2024-09-13

A子の吐息

A子は高校1年生の時の同級生だった。

 

私は朝早く登校し、誰もいない教室で前日の宿題をやるのが好きだった。

静かな教室は集中して作業するのに適している。

私は家にいるのが苦痛で、できるだけその時間を短くしたかった。

 

A子はいつも私の次に登校してきて、「おはよう増田くん。今日も早いのね。」と話しかけてきた。色白でぽっちゃりタイプのA子は客観的に評してもとても可愛い子だった。

私は朝一番にA子と挨拶し、時には数分間雑談を交わすひとときが好きだった。

 

 

 

 

 

暑い夏休み前のある日。

私はある問題に没頭し、深く考え込んでいた。

「…増田くん、増田くん。おはよう。」A子の声が耳に入り顔を上げた時、彼女の顔はすぐ目の前だった。

 

「あ、ごめん。考え事していて。」

 

その瞬間、彼女がゲップした。

そしてその吐息からは、ザーメン匂いがした。

 

 

 

 

 

夏休みに入り、新学期が始まり、A子が家庭の事情で転校したと聞かされた。

しばらくしてから、信じられない噂が耳に入った。

A子は実父に日常的にレイプされていて、妊娠堕胎させられた挙句、親戚の家に引き取られたのだと。

 

彼女も家にいるのが嫌で早く登校してたのだろうか。

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