2024-08-30

台風の日の思い出

物心ついた頃には父親はいなかった

母親は夜職でまともに家に帰らないので家で会話することはほとんどなかった

年の離れた姉と年子の妹の3人で生活していた

姉は高校を出ると就職して二人の面倒をみてくれるようになった

その頃から3人の子どもは親戚の家でバラバラに預けられて離れ離れになった

預けられていたというより祖母経済状況を見かねて親戚にかけよってくれてなんとかお願いしていたということらしい

祖母と姉は同居していた

夏休み冬休みだけ三人の子どもが祖母の家に集合して短い期間を一緒に過ごした

ある日妹が学校行きたくないと言い出した

妹が預けられている家から祖母に連絡がいったらしい

妹と私は同じ学校に通っていたが学校交流することはほとんどなかった

でも妹がいじめられていることはなんとなく気づいていた

祖母から学校での様子を尋ねられたときに正直にいじめられているかもしれないことは伝えた

祖母は無理に学校いかなくていいと言った

姉は学校だけはちゃんといけと言った

それは母親をみていたからなのかもしれない

父親の話は小さい頃から家族の中ではなんとなくタブーだった

から父親がみんなを捨てて出ていったとだけ聞かされていた

姉は答えを知っていたようだが(私はなんとなく気づいていた)下の二人がそれをちゃんと聞かされたのはだいぶあとになってからだった

父親は何も悪くなかった

でもそんなことはどうでもよかった

妹が学校にいけなくなってからは妹は祖母が預かるようになった

その頃から私も祖母の家に頻繁にいくようになった

妹が小3くらいの頃に大きな台風がきた

雷がゴロゴロなっていて雨の音がすごかった

それが怖かったらしく妹が泣き出した

そのとき家には私と妹の二人しかいなかった

姉と祖母はたしか病院にいっていたんだっけ

夜になっても二人が帰ってこなかったので私が雑炊をつくって妹に食べさせた

どうやら二人は道路冠水して立ち往生していたらしい

当時はスマホはおろか携帯電話もなくて心細かったのを覚えている

その日食べた爽の味は未だに覚えている

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