保護猫ボランティアにちょっとだけ携わっている。このあいだボランティアリーダーに「とにかく人手がいるから来てほしい」と言われて行った先がお年寄りの家だった。狭い家のいたるところに猫がいて、皆ボサボサでガリガリで糞尿の嫌なにおいがする。猫をつがいで飼っていたらあれよあれよと制限なく増え続けてしまったらしい。いわゆる多頭飼育崩壊ってやつだ。
私はこの光景を知っている。私の産まれてから18まで育った実家がまさにこんな感じだった。
私は姉姉兄兄私の5人きょうだい。兄や姉は10代で妊娠して(させて)いたたため私らきょうだい、その子ども、そこに姉兄のつがいが転がり込んできて子どもだらけの家になっていた。
しつけなんてまともにされていない子どもしかいないから、部屋はいつも糞のにおいがした。部屋の隅には虫がわいていた。食い荒らされた菓子パンや袋麺のゴミが散らかっていた。
親は離婚したり再婚したりを繰り返して忙しかったようで、うちが子どもまみれになっていることを知ってびっくりしていた。
幸い行政が手を回してくれたおかげで私が高校生になる頃には人間の生活ができるようになった。高校卒業後あの家から私だけ脱出して遠くで暮らしている。
今日姉から連絡があった。姉の子どもが妊娠したらしい。もう実家のことが多頭飼育崩壊した老人の家と同じにしか見えない。親切なボランティアに助けてもらえるといいね。
なんで君だけ脱出できたん? あと、どうして崩壊しちゃうんだろうね。悲しいね