車窓の向こうでわぁっと楽しそうにはしゃぐ彼と彼女たち。電車は動き、楽しそうな喧騒を乗せて見えなくなっていった。
電車は「新宿」とか「八王子」とか「特別急行」とか、色々電子表示がされてるが、その日見た表示は「修学旅行」だった。
修学旅行?一瞬脳が混乱したが、車内を見てみるとくだけた格好をした子供達がわいわい楽しそうにしている。修学旅行いけるようになったんだな…という想いと、「修学旅行」という表記が電車にあるんだなという驚きが同時に胸に去来する。
グリーン券でも買うかとホームで足を進めると、横目に見える車内の子供達の一部が引率らしきピンクの立体マスクをしたお姉さんと共に笑顔でこちらに向かって全力で手を振ってる。
あ、これは「外にいる大人の人に反応してもらうゲーム」的なやつだ!と気付いた。学校の外に出て浮ついた雰囲気の中行われる無邪気な遊びの標的になってしまった。
いや、別に嫌なわけではない。気恥ずかしいのだ。
見知らぬ大人だけど見知らぬ子供達に自然に反応を返すその社会性が自分には備わってないのではないかという恐れもある。
そもそもスマホではてブを見てるし反応を返すのとか笑顔を作るのとか、目を切ってちゃんと反応してますよという動作を挟む必要がある、難易度が高い(歩きスマホは良くない)。
車窓越しの子供達のピュアな目線、動き、期待、学校の外で何か起こるんじゃないかという浮ついたわくわく感。それに俺は、答えられるのか?
とか色々一瞬のうちに脳内で考えを巡らせてたらスマホを見ながら手だけ振るめちゃくちゃ挙動不審で行儀の悪い反応をしてしまった。