職場に一回りくらい年下の女の子がアルバイトとして入ってきた。
(うちの職場は特殊な環境で社員同士で酒を飲む機会が異常に多い)
酒の量もそうだけど、話の内容が深くなるといつのまにか二人だけになっていることも度々あった。
ちなみに自分は既婚であり、ワンチャンとかいうのは狙ってはいない。そもそもそんな根性もない。
そして一年ほど経った頃、その子が辞めることになった。もともと辞める予定ではあったのだけど、さみしかった。
最後だからとみんなで飲みに行くことになったのだけど、ほかのスタッフはあっさりしたもので、
「明日早いので」とか、「自分終電早いので」とか言いながら次々に抜けていき、いつのまにかまた二人になっていた。
自分が「どうする?」と聞くと、「今日は飲みましょう」と来たので飲み続けることにした。
しかし一時間もせずに自分が潰れてしまい、今日のところはお開きにしようということになった。
駅に向かい、電車を待っていると、その子がこっちを見ずに言った。
「増田さん居てくれて良かったです。」
今まで色々話してきたけど、そういう湿っぽいことは言わないタイプだと思っていたのでびっくりした。
そして喜びの感情を表に出し過ぎても気持ち悪いかな、とか考えてしまって、「あ……はぁ。」みたいな返事になってしまった。
そのあと一人になってからなんか急にうれしくなってきた。
たぶん関係性としては友達ですらないんだけど、一人の人の深いところを見せてもらったという感覚。
その人となにか分かり合えたような気がして、うれしかった。
いいはなし。寂しいけど同じ業界ならまた会えるかも。