2020-05-14

じれったい

Nさんは愛想がよく会社内みんなに好かれてる。だれにもにこやかにしかける。

理系のひとらしく1を尋ねたら10くらい説明してくれて結局1がよくわからなくなるほどいろいろと説明をしてくれる。

基本的ギャグセンは低いけどおもしろいことをいおうとがんばる姿はとてもらしい。

まらないひとのネタにも大げさに笑ってみせる。

そんなNさんをみてるのがとても好きだ。

だが、ふとした拍子に全ての表情が消えるときがある。

小説でよく表現される「紙のような表情」というやつになる。

なにかシリアスなやりとりをしているか疲れているかそれともどう反応してよいかからないときになるようだ。

実はそれが案外と好き。レアポケモンをみつけたような気分になる。

Kさんがいた。彼は派遣社員であり、あからさまにひとによって態度を変える。

仕事ができるとはいえないが、それよりも失敗した仕事隠蔽する癖がありみなには距離を置かれてる。

多少は自覚しているのでみんなとも距離をおいている。

でも仕事ができてめんどうみのいいNさんのことはとても気に入っていた。

ところが誰にも愛想のいいNさんはKさんにはそうとわからないように距離をおいているように思えた。

ひととの距離を測ることが下手なKさんはグイグイとNさんに寄っていく。

そしてKさんはよく敬礼をする。「わかりました上等兵どの!」といいながら。

そのたびにNさんが紙の表情になるのを遠目でみるのが大好きだった。

Kさんは他の社員パワハラで辞めていったのでしばらくそのやりとりをみていない。

部署も変わったこともあり(仕事関係上頻繁に顔をみるが)Nさんの紙の表情は本当にレアになってしまった。

いっそおれがそうなるように「わかりました上等兵どの!」をやろうと思っているがその度胸はいまのところない。

Nさんに嫌われるのが怖いからだ。

から最近じれったい。

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