2020-01-05

大根の花が咲いた

東京に出てきて15年以上経った。ずっと同じ所に住んでいる。

それなのに、ついこの間近所に老夫婦が営む八百屋があることを知る。

休みの日に何か料理を作ろうとその八百屋へ行くと、店頭の一番目立つ場所に葉っぱ付きの大根が沢山置いてあった。

小学校6年生の夏休み。いつものように母親田舎へ帰って時のこと。

2つ上のMちゃんといつものように川遊びをして、野山を駆けるはずが、その年は違った。

ちゃんはとても静かで、それでいて何かこちらの心を動かすような空気を出していた。

結果からいえば、僕はその夏休みにMちゃんキスをした。そして同年代よりも早く彼女ができた。

といっても遠距離だし、多感な年頃なので、お互いどこか本気ではなかったと思う。

この関係は向こうが大学1年生。僕は高校2年生になるまで続いた。

特別思い入れがあったわけではなく、なんとなく波長が合った。ただそれだけ。

高校2年生の夏。先に上京していたMちゃんに会いに行ったが、「好きな人が出来た」と代々木公園で告げられた。

僕は少し安心した。付き合う様になってから、ずっと息苦しかった。

相手はMちゃん地元が一緒で、僕も知っていた大根畑の農家の息子だった。

買ってきた大根の葉っぱを皿に入れ、しばらくすると黄色い花が咲いた。

そういえば、初めてエッチした時に見た下着黄色いだったなと、ふと思い出し、

もうあの時から農家の息子と関係があったのかなと考えると少し切なくなった。

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