私は仕事が終わるのがだいたい深夜になるのだが、帰りに親戚の家の付近を通ると、子供の泣き声が聞こえることがある。
その家の長男ーもう中学生になるーが泣き喚いているのだ。外にいても聞こえるような大声で、泣きたいのは親のほうだろうなと同情してしまう。
後日親戚に訊くと、警察が来て大変だったという。疲れた顔の母親の傍で、当の本人は我関せずとゲームに興じていた。
その親戚の子は、本当に幼い頃から癇癪を起こすと止まらない子だった。三歳の時、タクシーの助手席に座れなかったことに腹を立て、運転手に怒鳴り散らしたことがあったし、小学生に上がっても、母親が呼んでも来ないというだけで、グラスを彼女に投げつけたことがある。今回の件でも、宿題をやるように言われてかっとなってしまったということだ。
難儀な性格だと思うしカウンセリングが必要な気がするのだが、それを言うと母親が怒るので自然に治まるのを待つしかない。付き合いの少ない私には、弟に罪を擦り付けたり祖母に暴言を吐いたりといった嫌なところばかり目に付くのだが、四六時中接している母親が言うには優しく思いやりがあり、先生からも常に賞賛される子で、癇癪をおこすのも繊細な性格だからだということ。そしてそれはきっと正しいのだろう。
息子がグラスを投げつけたとき、それを叱りもせずガラスで怪我してないか訊き、呼ばれてすぐに行かなかった自分の非を、泣き喚く息子を抱きしめながら詫びる彼女は、全き「母親」なのだろう。
DV被害受けてる女の言い訳みたい
うちのカーチャンも洗わないなら余計な食器使うな!と怒鳴りながら洗い物をしている でも俺は都度新しい食器を出してきて使い続けるのだった 世は無情なり
どう考えても親に問題がある