2018-05-15

嘘松ができるまで

例えば君は今一人で喫茶店にいるとする

友達と待ち合わせをしていたが、一時間遅れると連絡があった。行く当ても無く、とりあえず涼みにきたのだ

小さい店内なので客は他に一組、店員マスターしかいない

君はレモンスカッシュを注文した。本当はレモンが嫌いなのだが、たまには挑戦も悪くない

と、暇さゆえにスマートフォンを弄んでいると、隣のテーブルの会話が嫌でも耳に入ってきた

「そういやさー、昨日仕事帰りに痴漢にあっちゃって」

「は?ヨシキが痴漢?w」

「いやちげーよw俺じゃなくて女の子が、昨日仕事帰りにさ、虎ノ門で座れたんだけど

 かわいい女の子が目の前に立っててさ、息が荒いしなんか脚もぞもぞしてんの。

 スマホ見てたけど足が震えてるからなんやろってチラチラ見てたらさ、こう、後ろのおっさん

 ケツ触ってるっぽくって。うわおっさん勇気あんなーってちょっと感心した」

「ふーん、俺もたまに銀座線乗るけど見たことねぇなあ。で、どうしたの?」

「ん、昨日はイラついてたからさー、ガッと立ち上がっておっさんの手首掴もうとしたわけよ。

 そしたらさ、その瞬間女の子が先に俺の手首掴んできて、俺の目を見て、こそっと『そういうプレイなんです』」

「wwwwwそりゃねーわwwww」

「もー俺もさ、すげーはずかしーじゃんw正義感と下心の行き場がないわけよww」

「wwんでその後は?」

「それがさー、もーその後またプレイ再開しやがってw俺の方が恥ずかしくなってきて次の駅で降りたわww」

「wwwwまーなーwwそうなるよなw災難じゃんww」

「もーホントだよ、また会うかもしれねーって思うと仕事行くのがこえーよ」

君もよく銀座線を利用しているが、同じ体験したことはない。ヨシキの語った話は果たして本当だろうか?

それを考える時間たっぷりある。君はレスカを処理しながら、今の話を140字に落としこむ作業に没頭していった

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