今日、私は妙に腹が減っていた。
今思えばここでいつも通りにすればよかったのに。
空腹の誘惑は恐ろしい。
すでに一つの小袋を開けたのに、気づけばもう一つにも手をかけてしまったのだ。
空腹は判断力をも鈍らせる。
まあいっか、腹減ってるしどうせ食べれるわ。
悪夢への序曲はもうすでに始まっていた。
かぐわしい香りがいつもの倍私の鼻を刺激し、ずっと嗅いでいたい思いに駆られるが、
いつもの通りその思いを断ち切り、卵をかけたのちラップをかけ、数分まつ。いつもの倍、幸福の時間を味わえるという期待を膨らませながら。
そして時間はやってくる。
箸にラーメンを絡めたのち、それを口に運び、味わう。
ある違和感を感じ始めた。そう、あれは食べ始めて7,8分ぐらいだっただろうか。
いつもならすでに食べ終わっているころだ。
身体はまだ空腹のせいか、食を求めている。なのに手は動かない。
改めててに力をこめると、なんだ、大丈夫か、手は動いた。
しかし、そのうち違和感は徐々に大きくなっていき、どうしても手は動かない。
私は最初なんらかの身体的疾患をうたがうが、そんな病気があるわけがない。
手が動かない原因を考えている私は、薄々感じはじめた。もう一人の私がいることに。
そう、チキンラーメンに飽きた私だ。
身体は求めていても、かわりばえのしない味を脳が拒絶したのだ。
ああ、チキンラーメンに対して「かわりばえのしない」なんて形容をしたのは初めてだ。
まさか。
私はその半ば「アイデンティティ」であったチキンラーメンへの愛を
こんな空腹の誘惑で失ってしまうとは。
白昼に味わった悪夢だった。
そこで増田の皆さん、
ごま油をかけてみてはどうか