それだけならなんてことの無い見慣れた景色であったけれど、後ろからはや歩きで女性に近づく男性に気づいた。
70歳前後に見えるその男性は、改札へと向かう上り階段に差し掛かった女性を右から追い抜くなり、サッと手に持ったプラカード(ダンボールにコピー用紙を貼っ付けた様な簡素なもの)を女性の前でしばし揺すり(右手にプラカードを持ち、左脇腹横で振るような感じ、男性は女性の方を向かず階段を歩き続けていた)、その後は何事もなかったように階段を登り終え、改札から出て行った。
プラカードには「歩きスマホ危険!不快!」の様な文言が油性ペンで書かれていた。
男性は声を出すわけでもなく、静かにメッセージを女性に投げかけて、特にトラブルもなく去っていった。
一方、プラカードを掲示された側の女性は歩きスマホに夢中になるあまり、その男性の行為に全く気付いていない様子で階段を登り終え、そのままスマホを見ながら器用に改札を抜けていった。よく見るとイヤホンもつけている。
男性のプラカードの見せ方があまりにも慎ましかったからかも知れないが、本当に気付いていない様子に見えた。
駅のホームや横断歩道で歩きスマホをする人も珍しくなくなり、自転車に乗りながらスマホをいじっている人もいて、ながらスマホが当たり前になりつつある昨今。
一方で歩きスマホにわざとぶつかるような過激派がニュースになったりもしている。
この男性の行為が先鋭化していかない事を望むとともに、スマホを使う私もマナーや常識を改めて意識する必要があるように感じた出来事となった。