・吐くほどつまらない。
・自分の頭がおかしいのかと思って、同時に買ったスタンダール『赤と黒』を読むと、これがめちゃくちゃ面白い。
・んで比較して思ったんだけど、『赤と黒』の方はキャラクターの造形からして何となくゴールが見えるんだよね。「聖職者でありながらブルジョアに対する憎悪と上昇志向でいっぱいで、家庭教師先の奥さんを誘惑して出世の足掛かりにする」みたいなキャラだし。破滅が見えてる。作中の事件もそれとの関係で位置付けられるので、意義がはっきりしてる。
他方『失われた~』の方は、主人公が無個性。そもそも名前すらないし。わざとやってるんだろうが、ゴール(≒何を描きたいのか)が見えない。事件や人物は次々登場するのだけれど、ゴールとの関係で位置づけがよく分からないし、それによって主人公が成長したりするわけでもないので、どう捉えていいのかよく分からない。そんで「これ何の話なの?」って思ってるうちに次のエピソードが始まってたりする(しかもその切れ目が分かりにくいんだこれが)。
・何かモームが「このぼう大な小説をよむならば、まず最初からはじめ、退屈になったらとばしてよみ、しばらくしたら、また普通のよみ方にかえることをおすすめする。」とか言ってるらしいのでこれで行く。
・おもしろエピソードは今回そんな無い。前回までのところは叔母さんのくだりとか割とコメディだったんだけどね。
・読書について述べてるところが2カ所あって、要約すると、①読書は自分ができない経験ができて良いよね(196頁)、②優秀な作者の場合、同じ経験をしても自分じゃできない認識の仕方をしてたりして、それを教えてくれるから良いよね(218頁)、みたいな。違うかも。