2017-04-11

なぜ彼だったのか

彼を好きになったのはほんの偶然だった。

ずっと応援していた年上の人(以下元担)を、まだとても大好きだった。と言うより、大好きでいたかった。にも関わらずなぜ担降りをしたのかというと、元担の焦りが伝わってきてしまたからなんだと思う。

社会人になって久しいけれど、アイドルには夢を見ていたい。裏でどれだけ遊んでいても、オタク馬鹿にしていても、ステージの上ではキラキラ輝いて夢を見せてほしい。そう思っている。

でも私が担降りを考えた頃の元担には夢を見られなかった。年を重ねていくことへの焦り、同年代や後輩がデビューしていくことへの焦り、後輩が追随してくることへの焦り。それしか見えなかった。

そんな折に私の目の前に現れたのが、彼だった。特別何かが秀でていたわけではない。それでも惹かれたのは、彼に、元担には見えなくなっていた夢や将来への希望を感じたから。だったらよかったのだが、そうでもなかった。あの時の私は、悪く言ってしまうと誰でもよかったんだと思う。元担じゃなければ。

自慢じゃないけれど、歌やダンスに秀でた人を担当と呼んだ経験がない。グループの中でセンターに立つような人を担当と呼んだ経験もない。だから、元担のように、焦っていない人だったら誰でもよかった。

幸いにも、惹かれた彼はまだ幼くて、焦りなんて感じなかった。だけど同時に、絶対デビューする!という意気込みも感じなかった。部活感覚で進学を機に辞めるんだろう、と勝手想像していたし、それならそれでよかった。

そう思って降りたはずなのに、いつの間にか元担を好きだった期間を越えて、私は今も彼のファンを続けている。

予想に反して彼はまだジャニーズJr.を続けているし、幼さが消えて男らしくなるにつれファンの数も増えてきた。

それでもまだ、なぜ彼だったのかは分からない。いつかもしも彼がデビューしたらその答えは解るのだろうか。それともそれは、彼がこの世界を去る決断をした時なのだろうか。

だけど一つだけ、降りたときには感じ得なかった夢や将来への希望を今の彼には感じるから、あの時の決断は間違っていなかったんだろう。その思いが消えない限り、明日明後日も私はきっと彼のファンであり続けるんだと思う。

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