それは「娯楽作品に、政治的問題を意識させる要素を入れるんじゃねえ」という作り手への批判の文脈なこともあれば
「娯楽を政治的問題に結び付けて議論するんじゃねえ」という受け手への批判の文脈なこともある。
いずれにせよ、非現実的すぎる。
娯楽は現実の問題や難しいことからすっかり切り離せるなんていうナイーヴな考え方は捨てろ。
その二つは切り離せない。スポーツと政治も切り離せない。あらゆるものと政治は切り離せない。なぜなら人間そのものと政治が切り離せないからだ。
政治の要素がなくただ快楽だけを味わえる娯楽もあるなどと以前まで考えてこられたのはおそらく、君の精神がまだ幼く政治的要素を認識できなかった上に、語り合う相手も同じくらい未発達な人に限られて、娯楽に含まれる政治に気づけなかっただけだ。
今もはや君の精神は成長し、更にインターネットによって無数の人間の考えを見るようにもなった。
政治と娯楽は切り離せないし、君は切り離せるという夢想の中で遊ぶこともできなくなったのだ。
娯楽に政治を入れる作り手を、「政治を入れた」というだけで叩くな。叩くならその描き口や政治スタンスを叩け。
娯楽を政治的に受け取る解釈車を叩くな。そこにある政治要素から目を逸らしてむずかしいことのわからない幼子のふりをするな。
これは、賢くなれとか政治に興味を持ち学べとかいうメッセージではない。
君は既に賢いのだ。賢くなってしまったのだ。