この世界の片隅に を見てしまった今、シンゴジラや君の名は。ではしゃいでいた自分に戻れる気はしない。
何なんだろうな…この映画…。
あれよりよかったというか、あれもよかったんだよ?でも同じくらい良いとは言えない…。言えないんだ。
何故比べるかと言うと、シンゴジラや君の名は。は「フィクションの災害」を打ち出しているのに対し、この映画は「現実の被害」を打ち出してきたからなんじゃないか?と思う。
この世界の片隅に っていう映画は、自分の中にあったなにかの価値観を確実に崩したし…多分この映画は今だけじゃなくて10年後も年に1回くらいは見られてる映画になったんじゃないかなって。
多分この映画は火垂るの墓と打って変るだろうし、今後の日本の戦争史に対する向き合い方も変えてくる。
戦後71年、たくさんの人が死んで、そして生きてきたから自分たちが居る。
この映画にはその重みが詰まってるような気がして、数日前に観たのに上手く感想に出来なかった。
一度だけ戦争について話してくれたことがある。でも、もっといろんな話を聞きたかった。聞けばよかった。
やっと、教えてもらえた気がした。
比べて一方をコケ落とすような大人気ない幼稚な馬鹿のせいで、容易に比較することができなくなってしまった。(大体、シンゴジラファンと君の名は。ファンの抗争に巻き込まれているだけであるが)
ただもしかしたら「この世界の片隅に」と最初に比べるべきは「火垂るの墓」なのかもしれない。
表裏一体とも言えるこの二つの作品が、描きたかったこと、込めた思いの違い、そんなことを劇場の片隅で鑑賞した後ずっと考えている。