大体20歳ごろから始まったのだろうか。誕生日が楽しくなくなったのは。
別に、誰にも祝ってもらえないからとか、年を取ってしまったとか、そういうことではないのだ。
「もっとうまくできなかったのか」
「もっとがんばれなかったのか」
と。
すると、子供のころ思った未来像とずいぶんと隔たりがあることに胃が重くなる。
このころには妻がいたはずである。
そばには誰か、いたはずである。
だが実際には、そばには誰もおらず
ろくに稼げず
友人と呼ぶ人物すらいない、社会人とすら言いたくない哀れな生物がのたくっているだけである。
この時点で、まず死にたくなる。
次に、将来のことについて考えてみる。
傷病手当も年末で終わる。その前に就職活動して、飢え死にから脱出できるか?
答えは否だ。
仮にバイトにありつけたとしても、9万ぐらい稼ぐのがやっとであろう。それは、すぐ死ぬか1ヶ月後に死ぬかの違いでしかない。
詰んだ。
未来がない。
絶望する。
そして、腹の底から私が叫んでくるのだ。
「もっとうまくできなかったのか」
「もっとがんばれなかったのか」
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
何を言っても状況は変わらないし、命乞いをしても誰も救ってくれない。
だから、せめて最後だけは迷惑をかけないようにと、12ミリ径のロープを20メートル分。Amazonに発注した。