「貧しくなりましたね 日本も」
「そうですね」
日本は限りなく衰退していた。少子高齢化がまず一つの原因である。
また、度重なる増税により、富裕層は海外に資産をもって逃げて行ったのだ。
富裕層たちの殆どは決して海外で稼ぎ出した金で資産を築いたのではなく、日本でしか通じないイマイチなもので瞬間的に稼いだものによるものだった。
こいつらはどうしようもないくらいクソなやつらである。
彼が東京大学卒であることも、銀行を定年まで勤め上げたため、50歳で今までの役職がすべておじゃんになり、出向で給料が半分になったりしたことも関係ない。
そこでそこそこ金持ちの東南アジアの華僑の不細工な男を魅了させたのだった。
彼女は父の将来に希望がないことは知っていたので、金持ちの男と結婚した。
そのうち多くの日本人の親たちの希望の一つが子供が海外の金持ちと結婚するということになっていった。
だから日本人の親は以前にも増して女の子を欲するようになった。
大きな、切実な希望を託せるのは可愛い顔をした、色白の女の子だから。
女性の自立というのは、金持ちを魅了させることができない容姿が良くない女が生きていくのに仕方なくすることを明るく言い換えた言葉になった。