妊婦を見る腹が立って仕方ない。
もちろん腹が立つ妊婦には条件がある。
世の中もそういう意見が多いのか、久喜行きの半蔵門線に九段下から乗ってきたそんな妊婦に席を譲る人間はいなかった。
その妊婦は乗ってきてから10秒くらいしか見ていないので、そのあと席を獲得したかもしれない。
他の人間もそうだということなのかもしれないが、妊婦はとにかく自分のことしか考えていないだろう。
自分は自分が同情する人間にはとりあえず哀れんでいるつもりだ。
如何にも偉そうな雰囲気だ。
とてもじゃないがこちらは死んで欲しいと思うのだ。
どうしようもない病気のため、崩れた形をした子供たちと一緒に採血待ちをしていたとき隣に顔がデカイがそれ以外は良い、身長の高い女が座ってきたのだ。
妊婦が産む子供がどんな形をしていて、どこの大学へ行くのかわからないが、あのゆとりがある感じは健康な子供が生まれる予定なのだろう。妊婦の情報サイトを見ている。恐らく健康な子供が腹の中にいる妊婦向けの。
もちろんこの女も自分のことしか考えていないから死んで欲しい。
自分の母親のかおが悪いのは許せないが、かおが悪い妊婦は許せる。
仕方がない。
かおがよくて、妊婦なのが悪いのだ。