「この雑踏にいるたくさんの人すべてが、あんなふうに死と隣り合わせの出産を経て生まれてきたなんてすごい!っていうか、この地球上にいる人がぜんぶこんなふうに生まれてきたなんてすごい!」
こんな奇跡を経て生まれてきた命が何十億も存在してるなんて、この世界ってすごい!本当に、奇跡のほしなんだ!って思った。
それ以来、それまで興味のなかった他人の人生に敬意を払えるようになった。小さいもの、弱いものに心を寄せられるようになった。
反対に、今までは平気で聞き流せていた事故のニュース、火事のニュース、殺人のニュースを聞くたびに、心臓が締め付けられるような気持ちを覚えるようになった。
だから「今までも1800人の隊員が殉職している」という想像力に欠けた発言が流れてきたとき、愕然としたし、悲しくてしょうがなかった。
いま、私には4人の子供がいる。
自分や、自分の家族や、自分の愛する人が、つつがなく人生を全うするということ以上の幸せがいったいこの世のどこにあるというのか。