マーケティングというのは煎じ詰めて言えば、「人々の欲望についてきちんと把握し、その上でその欲望を適切に刺激できるような製品や広告などを打ち出す」という行為のことである。
しかし人類が都市型文明を獲得して以来今日に至るまで、マーケティングは極めて初歩的で幼児的な段階から進歩できていなかったのではないだろうか。テレビやラジオ、インターネットといったメディアは発達してきたものの、しかしマーケティングの方法論が見違えて発達したかと言えばそうではなく、何なら19世紀的と罵倒してもいいくらいには幼稚な状態のままだった。
特に、「人々の欲望についてきちんと把握する」という行為においてその幼稚さは目立っている。「欲望を刺激しうる製品や広告」を作れないのはままあることとしても、前者の行為はやはりコンスタントに達成されていなければならないところのものであろう。
一言で言えば「ビッグデータの活用」なる行為はマーケティングの歴史にブレークスルーを起こしたのではないだろうか。
例えば天下のtsutayaなんかはこれらの「ビッグデータ」を使うことをほぼ公然と行っているし、あるいは米グーグルはクロームブラウザを利用する人々のブラウジングの傾向を個人単位で事細かに記録しまくっている。年代ごとの嗜好傾向、個人個人の嗜好傾向、こういったものが暴かれることによって、更なる洗練されたマーケティングが現代において達成されるのではあるまいか。21世紀はようやく来たり。