2015-02-22

トイレのドアに鍵をかけない人

お店のトイレなど公共の場所で、個室のドアに鍵をかけないで用を足している男性は意外といる。喫茶店とか、コンビニとか。立て続けにそういう人に出くわしたということは、そんなに珍しいことではないんじゃないだろうか。女の人には信じられないようなずさんさかもしれないけど、こういう男性はけっこういる。

鍵がかかっていないことを示す青色の表示がドアノブの上に出ているので、ノックもしないで開けると、ズボンをずり下ろして、白いシャツの端を見せている人に出くわす。このとき、「あ、すいません」というのは、ドアを開けた方の僕ではなくて、ドアを開けられた方の人の方が早いことが多い。

開けた方は、謝りながらも、いつもなんだか腑に落ちない思いでドアを閉める。このとき、先に個室に入っていた男性は、何に対して「すいません」といっているのだろう。うんこがもれそうで、切羽詰まった状態になってトイレに来たのに、わたしが入っていてすいません、ということなのだろうか。それとも、びっくりさせてしまってすいません、ということなのだろうか。あるいは自分が尻を出している姿を見たくもないのに見せてしまって、すいませんということなのだろうか。

しかに、空室だと思ってトイレの個室を開けて、人がいたときの驚きと、それに続くなにか裏切られた感じは、ほかにたとえようのないものだ。個室に鍵をかけないで中でふんばっていた男性は、自分もそういう思いをしたことがあるので、相手に対して不快な驚きを与えてしまって、すまないとおもっているのだろうか。だとしたら、ドアの鍵を開けたまま大便をする男性はずいぶんやさしいのだ。

どうも違うような気がする、と自分で書いていていても思う。忘れてはならないのは、普段はしっかりとしまっている身体のやわらかい部分を空気さらして座っている男性は、か弱いということだ。このとき心細く感じるので、ふと他人と遭遇すると、思わず先に謝ってしまうということではないだろうか。

ところで、ドアを開けたときに、中にいる男性が用を足している真っ最中であるか、まだ流し終わっていないときは、ドアの隙間を通って自ずから大便の臭いが流れ出してくる。他人うんこはどうしてこんなに臭いのだろう。事故はいえ、不意に他人うんこ臭いを吸い込んでしまった日は一日中その臭いを忘れることができない。理不尽うんこ臭いをかがされて腹が立つので、謝って欲しいと思う。でも、「おまえのうんこ臭い。あやまれ」とその場でとっさにいうだけの気概はないな。個室に入っていた男性は「すいません」というものの、「わたしのうんこが臭くてすいません」という意味で謝っているのではないことが感じられる。だから、やりばのない憤りが大便の臭いとともに一日中残って、もやもやとすることになる。

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