2014-11-16

朝早く下町住宅街を歩いて通勤か通学している途中、不意に昔ながらのオーソドックスな正油ラーメンが食べたくなって、たままた通りがかった昔の漫画に出てくる土管が置いてあるような空き地にやたら賑わっているラーメン屋テントを出していたものから寄ってみたところ、なぜか一瞬カツ丼を注文してしまいそうになりつつもなんとかカツ丼付きのラーメンセットということで落ち着き、支払いも済ませて食券ももらって、さてじゃあ先客もそこそこいるしってんで、店の裏手にある待合広場で呼び出しを待つことになったものの、五分と待たず5、6人の先客とともに呼び出され、食券と引き換えに手渡された名刺大の手書きメモに、「申し訳ありませんが、皆様は『ラーメン詐欺』にまんまと引っかかってしまわれました」などと書かれており、テントに引き返すもあれほどの賑わいが嘘のように人っ子一人おらず、寒空のだだっ広い空き地にぽつんと掲げられていた看板には「ここにいたすべての人間は弊社が用意致しました『サクラ』です」とあり、なぜそれをわざわざ伝えたのかと呆然しかけていたところで、ふと我に返って、そういえばどこかへ向かう途中だったことを思い出したので、また歩き始めたが、自分詐欺に遭ったと嗅ぎつけた柳原可奈子リポーターとしてやたら付きまとい、「どんな気持ちでしたか」とマイクを向けてくるのを煩わしく思いながらも、徐々にそれまでの展開に違和感を覚え、どうやらこれは夢だと気付きつつあったものの、だとすればこれは俺の意思だということで、じゃあどういったわけで俺が己を騙してこんな恥ずかしい気持ちにさせやがると憤ったところで場面は暗転し、ふとCMに入るのだけど、それがまた5年前の竹野内豊イケメンが人をおちょくるような軽妙なノリで「ヒゲと月、どっちが好き? 」「そりゃあ月でしょ」「でもヒゲは猫のひげだぜ」「んだよ、それ先に言えよ」などというもので、さっきまでの腹立ちもどこへやら、で、結局これは何の宣伝なのか気になって見届けようと思ったところで、ピピピピと目覚ましの音が聞こえてきてタイムアップおはよう。

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