耳かきが好きだ。一日でも欠かすことは出来ない。
耳かきができないなんて状況は考えるだけで恐ろしくなる。
(でも旅先で耳かきを忘れ、家に帰ってきて数日ぶりにする耳かきも最高に気持ちがいい)
私のように耳かきを愛する人もいれば、耳かきが苦手だという人もいるだろう。
それは全く個人の好みであり、そのことについて私は興味を持っていない。
しかしながら日常的に耳かきをする人、耳かきが好きだという人に聞きたい。
あなたはその耳かき(ここでいうのは行為としての耳かきではなく、道具としての耳かき)を積極的に選んでいるのか、と。
薬局で売っている耳かきはほとんど全てが木製かプラスチック製だ。
まずあえて言おう、木製(あるいは竹製)の耳かきは総じて屑であると。
あれは先端ヘラ部の厚み(木製加工品の限界)と柄のしなりによってつるりつるりと獲物を逃し、ただひたすらに苛立ちを生む悪魔的道具だ。
しかしながら現在日本における耳かきシェアは木製とプラスチック製が多くを占めている気がする。
私が愛用、いや依存しているステンレス製の耳かき、これこそがベスト耳かきだ。
質実剛健なルックスは医療用品のようであり、適度な重みによるコントロール性と先端部のエッジは獲物を逃すことがない。まさしく耳かきの王者である。
今の耳かきを無くしてしまった時のことを考えて、いくつかの金属製耳かきを探して試してみたが、物によっては素材やヘラ部の厚みなどによって反響を起こすのか、大きなノイズを感じるものもあった。
あるいはワイヤー型や円盤型といった「変わり種」も試してみたが発掘型の私のスタイルには合わなかった。
結局私にとってはいつどこで手に入れたのかも忘れてしまった現在の耳かきが至高の耳かきなのである。
多くの人にぜひもう一度「耳かき」という道具を見つめなおして頂きたい。
金属製耳かきを賞賛するためにその他の耳かきをこき下ろしてしまったが、それぞれに一長一短があることは認めざるを得ない。
マイベスト耳かきを探す旅は遠く険しい物であるかもしれないが、それは十分に価値があるものだ。
カタツムリは生まれながらにして殻という「道具」をもつ変わった生き物だという。
私達の耳にもカタツムリがいることはよく知られたことだろう。