2011-04-06

今までおかしかったんだ症候群

激動の時代に於いて、流れにどう身を任せるか、というのはいろいろあるが、

一部の人間はその前提自体を疑ってかかる傾向を示す。これまでの停滞した現実がおかしかったんだ、と。これからスピード感だ、と。

そもそもこれまでがおかしかったんだ、というのはなかなか聞こえがいい。おそらくそうやって己を社会適応させているのだろう。

これを今までおかしかったんだ症候群Gym Ghingham Syndrome>(以下GGS)と呼びたい

GGSは本邦でマオカ症として親しまれている。パニック症候群との関連が調査されているが未だ解明されていない。


症例としては、以下のようなものが挙げられる。

患者A「今までの東京がおかしかったんだ。夜空も星が良く見えて綺麗じゃないか。これぐらいでちょうどよかったんだよ」
患者B「今までの安全基準がおかしかったんだ。上限が20シーベルトに緩和されたってただちに影響はない。これぐらいでちょうどいいよ」
患者C「この日本自由報道記者クラブ協会で、記者クラブ破壊し、新しい時代を始めるッ!!」
患者D「今までのバブルがおかしかったんだ。ほどほどの生活ができればいいじゃないか。今ぐらいでちょうどいいよ」
患者E「今までの日本がおかしかった。だから天罰として津波被災地を襲った。これからは我欲を慎む生活で発展を」
患者F「いつまでも東京にいる君たちがおかしいんだ。僕もおかしいけど、今は逃げてほっとしている。」


いずれも、社会組織景観に基準など、個人を規定するより大きい概念への疑いのまなこと、それを更新しうる新たな概念――ときに自身の基準がそれと重なる――への希望こころが併存する。

したがってその個人の心理状態は極めて不安定であり、セカイ系との関連も指摘されている。

処方箋としては、たいてい時が解決する。つまり、極度の緊張から生まれた過剰適応なので、平静を取り戻せばこころも落ち着きを取り戻すのだ。

しかしその後に、枕に顔をうずめて足をバタバタしたくなるような羞恥に苛まれることになるが、それは本症例とは異なるものであるため、詳細は割愛する。

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