■「君たちはどう生きるか」は「君たちはどう生きるか」なのか　ネタバレあり

• 「君たちはどう生きるか」の原書は読んでないが、青少年向けに書かれた啓発的な本とのことで、実存的なテーマが扱われると予想していた。観に行くとやはりそんな感じだった。
• 駿もエヴァを作りたくなったんだろう。それぐらいプロットはエヴァだった。眞人が実存性を追い求める前半と、駿らしい冒険活劇が描かれる後半とを上手く両立させていたと個人的に思う。
• では「君たちはどう生きるか」は何だったか。「君たちはどう生きるか」の原書は前半と後半の境目で登場する。眞人の言動面に着目すると、この物語の境は塔に入る前と後ではなく、原書を読んだ前と後である。
• 塔の中に入った後の眞人が人間的に成長する描写は特になく、原書を読んだ直後から夏子を探す頼もしいモードへ急に変わる。その直前まで眞人が夏子に対して冷たく当たっていた様子をみると、これは不自然である。
• つまり眞人は冒険で成長したのではなく、「君たちはどう生きるか」を読んで成長した。
• では「君たちはどう生きるか」の何が眞人を変えたか。私は原書を読んでないので齧った知識で適当に言うが、天動説のような自分中心の社会観を脱出し、地動説のような自分が社会の一員として組み込まれる社会観を獲得したのではないか。
• この見方に立脚すると、色々な事象を説明できると思ってる。
• 例えば眞人が父の気を引こうとして行った自傷は天動説的社会観に基づいた行動であり、最後の大叔父との対話の中で「悪意の証」と眞人が表現したことを説明できる。
• また石室に入ることがタブーとされたのは、眞人が生きる苦しみを抱える中で、夏子の側の生きる苦しみに思いを馳せられなかったことを表してるのではないか。
• 最後の大叔父はやはり駿自身だと思う。この辺は他の方も書かれているので端折るが、吾朗やその他関係者へのメッセージが組み込まれているとは思わない。仮にも駿は大衆映画を作れる人なのでそういう内輪ノリは入れないと思う。

一回観ただけなので、細かいところ間違ってたらごめんなさい。ようするに君たちはどう生きるかを読めと言われている気がするので、みんなで読もう！

Permalink | 記事への反応(2) | 14:37

ツイートシェア