ギャンブラーはギャンブルで勝利した際にその後の差し引きにおいてはマイナスになっていても脳には成功体験として焼き付くことで誕生すると聞いたことがある。
それを応用するなら、セックスのために無駄金を使ったりオナニー後に虚しくなったことより、射精前後の快感だけを脳が強烈に覚えているということなのだろう。
アルコールを始めとした薬物中毒者の脳では「薬物使用をしても大丈夫だ」という思い込みが発生するようになるらしい。
これは強烈な快感の成功体験を忘れられない脳が自分で自分を騙す、というよりも脳の中に産まれた我々が自我と呼んでいる決意思決定システムが、それ以外の意思決定システム(本能と呼ばれているより即物的な意思決定機構)によって説得を受けている状態なのだろう。
自分の意志が自分の脳の中において絶対の存在であると思い込まなければ、薬物中毒に抗おうとする自分と従おうとする自分がぶつかりあってしまう自己矛盾を単なるバグ以外のものとして客観的に見ることが出来る。
なにか別のことに熱中していたり危機的状況に陥っているとき、暇な時と比べてセックスやオナニーに心惹かれる程度がハッキリと下がるのがわかる。
これは暇つぶしとしてセックスなどを選択しているというよりも、他の選択肢のほうが明らかに優先度が高いときには除外される程度の選択肢として感じているということだろう。
逆に性欲が危機的に高まるとあらゆる事よりも性欲解消が優先されるのは、選択肢としての価値が高まることに起因すると判断できる。
つまり、人生をオナニーやセックスに振り回されたくないなら、それよりも魅力的に感じられる選択肢を人生に増やすべきなのである。