全身イエローで顔がない人たちがうじゃうじゃと出てきて怖い。こっちに向かって手招きしたりガン飛ばしあったり、挙げ句の果てにはうじゃうじゃ踊りだしたりして怖い。太った人もいれば痩せてる人もいて、限りなく人間に近い容姿をしているのに顔だけはのっぺらしてて不気味で怖い。
それなのに金髪おかっぱの女の子達だけはちゃんと人間の容姿をしていて笑顔を振りまいていて、周りの全身イエローとは明らかに一線を画して存在していて、アンバランスな世界観が怖い。ネオン眩しいビルが密集している謎の空間にだだっ広いステージがあって、近未来のような過去のような既視感があるようで無いような感覚になって怖い。
一番怖いのは中盤で、女の子達が一続きになったタイヤをでかい包丁のような物でカットしているシーン。こちらに気付いた女の子たちが一瞬ニヤって笑ったときの表情が怖い。特に、左側の女の子が「あ、見ちゃったんだ…」と言いたげな冷たい目と半開きの口をしていて怖い。
CMの冒頭からの流れを思い出すと、このCMは1人称視点での映像となっていて、きっとこのイエローシティに迷い込んだ人間を描いているのだと思う。
道を見失ったこの人物はおぼつかない足取りで周りをキョロキョロ見渡しながら歩いた。不思議な人達が道を闊歩している。途中ではタイヤをカットする女の子達を見かけた。女の子達は不敵な笑みを浮かべていたが、その意味は分からなかったのでとにかく道を進んだ。たどり着いた広いホールのような場所で爆音が響く中、全身イエロー達はノリノリで踊っていた。圧倒されながらも、ふとステージに目をやると先ほどの女の子達がいた。おかしい、女の子達はいつ自分を追い越していったのだろう。まあいいか、このリズムに身を任せてみよう。ああとても楽しい、いつまでも踊っていたい、いつまでも。
そして、……。
イエローシティに迷い込んだが最後、帰ることは出来ない。イエローシティから出てくるのは店舗へ送られるタイヤのみである。タイヤの製造方法は社員さえも知らない。そして今日もイエローシティへ迷い込む人間が一人……。(おわり)
マジでこれ考えてたら眠れなくなってきた。