2019-05-05

シンデレラになれない女の願い

高校受験大学受験のたびに「志望校に落ちたら声優を目指そう」と思っていた。今の私はうまいこと受験に受かって、平凡な社会人をしながら声優オタクをしている。

就活がうまくいかないときに、バイト先の後輩にもこんなことを言われた。

おぐやまさんの声帯を目指しましょう!」

私はこの言葉を今でも時々思い出す。

私が奥山沙織ちゃん出会ったのは彼女と同じくらいの歳だった。デレステを始めたときに初めてきたSRもおそらく彼女だった。秋田県出身で、見た目も冴えなくて、眼鏡をかけた女の子共通点が多かったこともあって、彼女シンデレラにしてあげたいと思った。

とはいえ元々リズムゲームが得意ではないので、他のジャンル、他のアイドルうつつを抜かすことが多かった。ここで出会ったのがsideMの元教師ユニットS.E.Mだった。彼らについては後で詳しく書く。

沙織ちゃん相方として、一緒にステージで煌めくことができたら。そんな夢を見ることもあった。とはいえ、うまくいかいであろうことは分かりきっていたし、適当就職して、今はS.E.Mに近い仕事をしている。

平凡な道を選んで、そこそこ楽しくやっていた。そんなときに今年のシンデレラガール総選挙はこの荒れようだ。

待てど暮らせど、奥山沙織ちゃん相方は現れない。後から出たアイドルは上位に食い込み、声が実装されそうなアイドルもいる。

気が狂いそうになった。

奥山沙織は、私と一緒に歩いて行きたいのかもしれない。そのために、私を待っていてくれているのかもしれない。一緒に眩しいステージで煌めくために、私を待っている。

ずっと諦め続けていた声優という仕事に、彼女は私を導いてくれるんじゃないか

だが、今からレッスンをして運良く声優を目指すためのスタートラインに立ったとしても、そのときにはもうアラサーと呼ばれる位置になる。どんどん若年化の進む女性声優界隈で、アラサー新人女性声優なんて需要はないだろう。

しかし、担当アイドルであるS.E.Mはこう言うのだ。

「夢を追いかけるのに、遅すぎるなんてない」

「思い切ってみなきゃ、起こせない未来って化学変化 賭けみたいなもんだよ、動かなきゃ…何も手に入んない」

やめてくれ、アラサーアイドルなんて、声優なんて、それで食べていくなんて、できる気がしない。

奥山沙織ちゃんに声が、同じ声をもつ相方ができたら、私は呪いみたいな夢をきっぱり諦められそうな気がする。

早く奥山沙織ちゃんシンデレラになれますように。

自己顕示欲に塗れたような私を置いて、綺麗なガラスの靴を履いて、大階段から微笑んでよ。

秋田田舎だって大都会で輝くことができるって教えてよ。

私が変な気を起こして人生の賭けに出てしまう前に、奥山沙織相方が現れますように。

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