X社のAさんは、他の人に比べ要領が悪く、周りの人ともあまり仲良くできていなかった。
Aさんは皆から蔑まれこそしなかったが、初めてAさんと共同作業をする人は皆彼の仕事の遅さや質の低さに少し面食らう程度の仕事ぶりだった。
そんなAさんが在籍するX社はその業界では「上の下」程度の雰囲気である。
雰囲気とは技術力、社員同士の仲の良さ、利益、社会への影響力などの指標を総合したものの事とする。
X社の人の多くは「中以下の雰囲気の会社が業界の足を引っ張っている」どこか思っているフシがあった。
でもまだまだX社の上には沢山の会社がいる。
だからX社の人たちは自分たちの会社を「上の上」にすることを目指し、しかし同時に「そんな上には行けないだろうなあ、いつか転職したいなあ」と思っている。
(ちなみに本当は外資に特上があるのだが彼らにはもはや雲の上過ぎて眼中にない。)
そのことはAさんの送別会で、ほろ酔いのAさんがポツリとこぼしたカミングアウトによって一般社員に広まった。
Aさんの行く先はあのY社だった。
しかもただの上ではなく「上の上」だった。
皆はすごい、やったじゃん、とAさんを賞賛した。
しかし内心、
「お前がY社かよ」
実はX社では以前から、毎年1人いるかどうかの確率で、上の上の会社に栄転する人が出てくる傾向があった。
残ったX社の人たちも、
「あの人ならまああそこ行けるよね、すごいなぁ。俺も能力磨いてあの人みたいになるぞ!」
と思っている者も多かった。
それなのにAさん「程度」で「あの」Y社に行ったので革命に近い事象が起きたと皆思わざるを得なかった。
とは言えそれは起こり得たことだった。
X社には他にはないアドバンテージとなる技術があり、Aさんも死にそうになりながらその経験を積んでいたからだ。
そう考えればAさんの栄転は何も不思議な事はない。
そして有能な者を含む多くの人たちは、能力磨きなど考えていられないと積極的に転職活動に励んだ。
おい、オチどうなってんだ
先従隗始ってやつだな。 あと1日3回もオナニーしてたらちんこ筋肉痛みたいになるわ