少し前までの私は、常に焦燥感と緊張の中にあった。
寂しい人間だと思われたくなくて予定を作り
家に帰ればぐったりと疲れていた。
「誰も自分のことなんて気にしてない」と、何度心の中で繰り返しても無駄だった。
少し変わった行動を取るだけで、陰口を叩かれたり、笑われたりした。
たとえば声がひっくり返っただけで
前髪を切りすぎただけで
ラケットの振り方が変なだけで。
今思えば下らない話だ。表立ったイジメとかじゃなく、ただの噂程度。でも当時は監視されてるような気分だったのだ。
自分では気づいてないけど他人から見れば変なのかもしれないと、歩き方さえ気になったこともある。ノイローゼじみていた。
友達にダメなところを指摘してもらって、自分なりに直しても笑われるから、友達のことも疑うようになった。
本当は心の中で、変だと思ってるんじゃないかとか。
一度疑ってしまえばその後に新しく出来た友達や恋人に対しても同様だった。完全に信じるということが、できなかった。
だけど今やっと、他人にどう思われてもいいやと思えるようになった。
自分の中にこびり付いていた自意識過剰が、やっと、剥がれ落ちてくれた。
知らない人ととも自然に目を合わせられるようになった。
服屋の店員に話しかけられたとしても、息が詰まる思いをすることがなくなった。
自信はまだそれほど身についてないけれど、とりあえずマイナスから0程度にはなった。
仕事でもプライベートでも、あまり細かいことを気にしなくなった。
死にたいと思うこともなくなった。
治るまで随分と時間がかかってしまったなぁ、という気がするし、
色んな面で人より遅れをとってしまった気もするけど
まあいいや、と思う。
私は私に合ったペースで、焦らずゆっくり生きていこうと思う。