2017-03-11

ナスと米ナスと私

バラ売りの米ナスを一本買った。

確か100円くらい。

PP(訂正)ポリ袋に入れてバスケットに放り込み、他の買い物と合わせてレジに持っていく。

レジ打ちの(多分)高校生の子が、米ナスを手に取ったところで一瞬フリーズした。

あれっ?と思ったけど、すぐに作業を再開したので、その場はそのまま見守ることしかできず。 ※失敗1

会計が終わって、しかし先程のフリーズが引っかかったのですぐさま確認すると、案の定、嫌な予感は的中していた。

私が買ったのは米ナスなのに、レシート記載はただのナス

値段は米ナスの約半分。

たかだか差額50円程度の話だし、バラ売りの野菜なんて在庫POS管理している訳でもないだろうから、余程スルーして帰ろうかと数瞬悩んだ。

もしも話が逆で、50円損をするのが自分であれば間違いなく帰っていたと思うけど、たか50円でも不当利得を放置するのは気持ちが悪いし、厳密には犯罪だ。

意を決してレジに並び直し、数分前レジ打ちをした当人に、会計が間違っていたことを話す。

その場で処理を訂正してもらうか、それがシステム的に面倒なら、追加でナスを買い、会計は米ナスで切って貰って相殺してもいいかなーと考えていた。

返品処理をするならサービスカウンターだろうけど、自分としてはレジ打ちの子のところで話を収められればベストだと思っていた。

ところが、いざレジで話をすると、レジ打ちの子は慌ててバックヤードに駆け出していってしまったので、詳しい話をするタイミングを逃してしまった。 ※失敗2

結局、奥から出てきたベテラン店員さんにサービスカウンターで上記の相殺処理をしてもらい、私はナスと米ナスを一本ずつマイバックに入れて、悶々としながら帰途に就いたのだった。

 

振り返ってみて、思い付く私の失敗は概ね2つ。

一つ目は、レジ打ちの子フリーズしたときに、さり気なく「米ナス、一本ね」と伝えることができなかったこと。

二つ目は、訂正を求めてレジに並んだときに、最初からナスを持っていって相殺提案しなかったことだ。

 

そもそも、高校生ぐらいの子であれば、ナスと米ナスの見分けがつかなくても仕方がない。

ナス定番商品というわけでもないし、学生バイトにすべての商品を把握しろというのも酷な話だろう。

はたして私は正しいことをしたのだろうか。

自分の罪悪感を軽くするために、ベテラン店員さんの手を煩わし、店には50円程度しか得をさせず、バイトの子にも嫌な思いをさせることが、はたして正義に悖る行為ではなかったと自信を持っていえるのか。

例え犯罪者汚名を受けようとも、50円ネコババすることこそが、神の御心に適った行いであった可能性はないのだろうか。

 

煩悶のうちに、私はナスと米ナスを切って焼いた。

正義の在り処ついて、未だ答えは見えない。

しかし、焼いたナスは、焼いた米ナスよりも美味だった。

それが私にとって何よりの慰めになったことは言うまでもない。

  • PP袋ではなく、多分PE(HEPE)袋。

  • 偉いね 私なんかこの前、国産牛に間違えてアメリカ牛のバーコードついてる商品を見つけて(国産牛とアメリカ牛はトレーの模様が違う) 指摘されたらアメリカ牛に取り換えようと思い...

    • トレーの方を間違えていた可能性もゼロじゃないし、見た目では肉質の違いも決定的ではないし。 DNA鑑定でもしない限りハッキリとした正解は分からない以上、その場では指摘のしよう...

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん