私はあまり胃腸のコンディションが安定しない方で、ウサギのようなコロコロした形状のものが出るときもあれば、粘度高くてなかなか綺麗に拭けなかったり、たまに下痢になってしまうこともある。
さらには酒もよく飲むので、飲んだ翌日は弁が硬くなりなかなかスッキリ出ず、踏ん張った挙句に切れ痔になることもしばしばで、それは大変なものだ。
そんな私だが、なんの因果か稀に会心の脱糞ができることがある。
それが昨日だった。
それはもうなんの抵抗もなくスポンと出て行くことはもちろんだが、注目すべきはその質だ。
太く、長く、なめらか。
その太さは私の肛門が伸縮性を最大限に利用しておおよそ搾り出せる限りの最大径のものであるにもかかわらず、そのなめらかさゆえに、一切の痛みも抵抗もない。その長さはスムーズに門をくぐって行くにも関わらず、先頭が通過してからから最後尾が抜け切るまでに3,4秒もの時間を必要とし、横たわる御姿は河口へと続く奥まった暗闇からとぐろを巻いて伸び、手前の浅瀬に乗り上げている。
これだけの猛々しいウンコが自分の体から出てくる生命の神秘。押し寄せる興奮と感動。私はまだ独身であり、そもそも、性別も男であることもあり、これまでもこれからも出産を経験することはないが、子供を産んだ際の感動はこの延長線上にあるのであろうか。
それぐらいの感動がある。この感動をみんなと共有したい。私のこの猛々しい黒龍a.k.a.快便をみんなに見てもらいたい。
という欲求を私は快便を出すたびに燻らせていた。ということは、これはきっと同時に多くの人が燻らせている想いでもあるに違いない。
そして、昨日あるアイディアに思い至った。この世には自分のうんこを共有し合うSNSが必要なのではないか。
皆が自分のうんこをみんなに見てもらう欲求満たすことができるサービスが求められているのではないか。
我ながら、秀逸なアイディア。
だが、その5秒後、まもなくして私はこの愚かしきアイディアの問題点に気がついた。
単純な話である。私は人にうんこを見せびらかしたいが、ひとのウンコなど見たくないのだ。
皆そうだろう。百歩譲って私が女であれば、世界の片隅にはそれを求める性癖が存在したかもしれないが。
かくして私は今絶望にくれている。
どうにか私のこのウン己顕示欲を満たす方法はないのか。
誰かこの感動と興奮を肯定してくれないのか。
衝動のまま、友人たちの反発は覚悟でLINEで送りつけることはできれば避けたい。
こんな私を救ってくれないだろうか。