僕は専門でデザインの勉強をして、デザイン関連会社に就職したものの、流れ流れで営業をやっている。デザインをすることは好きなので、専門時代の友人や友人の知り合いから、頼まれれば数えきれないほどタダでフライヤーを作ったり名刺を作ったりしていた。
僕自身、デザインの勉強はしていたもの、それで食っているわけでもないし、専門時代は「外部の仕事は買ってでもしろ」「タダでもデザインをいっぱいさせてもらえ」と講師に口酸っぱく言われていたので、お金を請求するっていう発想がなかった。ご飯をおごってもらったり、なんかもらったりすれば満足していた。お金の話は大嫌いなので、避けてしまっていた節もある。
先日、僕が作った友人のイベントフライヤーを見たアパレルの店長さんが、今度改装するお店のフライヤーを作ってほしいと頼まれた。彼はもともと東京の人で、この地方に来てからデザインできる知り合いがいないという。少々こだわりあがるためちゃんと顔を合わせて打合せして作りたいとのこと。ちょっとした見積書をもらって、ひっくり返ってしまった。
こ、こんなもらえません、と恐縮ながらその人に話した。デザインでお金をもらったことがほとんどないことも。彼は「いやいや、ここまでちゃんと商業的にデザインが出来るのに、お金をもらってないことがおかしいよ」と諭された。
フライヤーは無事出来上がり、お金をいただいた。店長さん曰く評判もいいとのこと。また頼むよ、なんかあったら紹介するからと肩を叩かれとてもうれしかった。
と、同時に、なんだかうまく言えない虚しさも感じている。多少手間がかるところもあったものの、製作期間・手間は友人らに頼まれて作るものと何ら変わりなかった。今の血肉になってるとはいえ、仕事の合間を縫って作っていた数々の制作物、ちゃんとお金をもらっていたらいくらになったんだろうと思う。こんなこと友人に思いたくないけど、搾取されていたんだよなあ。いや、お金に目がくらんでるとかじゃなくて。
好きでしている事って、お金に代えがたい。すきを換金するようでなんか嫌だった。でもちゃんとした技術で、お金を得ることは全然変じゃない。ちゃんとお金のはなしできるよう、ニーズがあるのならいくら趣味でもちゃんと相場と単価を考えておくべきだなと思った。
150203_追記
ぼやきで書いたのでコメントついてびっくりしています。ありがとうございました。
ちょっと補足です。店長さんのお店は本社があって、フライヤーの製作費は本社から出たようです。お金に関して全くとんちんかんな僕の代わりに店長さんが見積書を作って本社に出してくれました。