1.身代金を払うべきか
払うべきではない。
日本人一人あたり1億ドルと交換できるなんてことになったら、世界中で日本人狩りが始まる。
ただし、現状の日本政府はイスラム国に対する姿勢方針を決められていないように見える。
その方針がある程度定まるまでのつなぎとして、あくまでも一時的に身代金を払うのは「アリ」とも思える。
また、イスラム国と何らかの交渉窓口を持つ意味でも、「身代金を払う」メリットはある。
ただしそのメリットが、イスラム国に日本人を誘拐する動機を与えることより大きいとは思えない。
2.人命を軽視しているのは誰か
今回の件で、人命を軽視しているのは(イスラム国は当然として)人質となったご当人たちである。
イスラム国とされている周辺地域の治安が悪く、「危険である」ことは自明である。
人質となった彼らの行動には意義があるが、当然リスクも大きく、そのリスクを負うべきなのは誰か。
ただし上にも書いたとおり、「今回は払う」とした上で、「今後は払わない」ことを、
イスラム国と、そして日本国民に伝え、今後同様の事件が起きることを予防するのはアリだと思う。
また、早急にイスラム国に対するスタンスと具体的行動策を考え、決める。
その際に考慮すべきは、イスラム国が日本をテロの標的とする事に対し、「ハイリスク、ローリターン」となること。
イスラム国の目的(中東の国境線の全面的な見直し)と、当面の狙い(敵の足並みを乱す、勢力を広げる)は何なのかを考えること。
ここで最も重要な役割を果たすのは、イスラム国以外のイスラム諸国であると思われる。
4.日本人はどうすべきか
敵を知り、己を知れば百戦危うからず。
現状の日本人は、イスラム国についての理解が乏しすぎるため、議論のレベルが低い。
まず何よりも相手(イスラム国)のことを知り、相手の目的、思想、行動指針、価値観を理解するべき。
なぜ相手がそのような行動を取るのか、その理由を理解せずに交渉などできるはずもない。
少なくとも「イスラム教」が敵なのではないことくらいは理解しておきたい。
また、表現の自由は守られるべきではあるが、そんなこととは関係なく、
のび太がジャイアンを侮辱すれば殴られるし、包丁を持った妻を怒らせてはいけないと言うのは
考えなくても分かると思う(例えとして適切ではない)。
そもそも「表現」とは何なのか、その表現の意図(何を伝えたい?)、表現する理由(なぜ伝えたい?)、
そして手段の適切さ(上手く伝わる?)を考えるべきと思う。
イスラム国のやっていることはおかしいよ、笑っちゃうよと言うことを、内輪ネタではなく、
他ならぬイスラム国の人たちに伝えるにはどうすればいいか、少なくともそこを押さえていない風刺は残念である。
5.イスラム国はどうすべきか
自らの目的を達成するために取る手段として、現状の方針が最適かどうか改めて検討して欲しい。
イスラム国の主張とその根拠は、とてもシンプルであると思われる。
そのシンプルな主張を是とするか否とするかは、各国の立場によって異なるであろうが、
少なくとも現状のやり方では敵を作り過ぎる。自ら困難な道を歩もうとしているようにも見える。
まずは、自らが正義であるとする根拠を全世界に向けて説明して欲しい。
どうしたいのか、どうして欲しいのか、どうして欲しくないのかを教えて欲しい。