普通は逆なんだろうが、案外そうでもない。
私が勤めた零細では、社長と常務は常に親会社に近い取引先に出向中で仕事の責任者はもっぱら営業部長だったりしたため、
責任の重い仕事が中々こちらに回って来ず、皆が皆淡々と仕事を熟すだけの仕事人間として一体感を為すようになる。
また、この営業部長が毎日のように出張中だったりすると、惟れの仕事は一体誰に許可を取らないといけないのかといちいち聞かないといけなくなる。
しかしながら、このような状態がずっと続いていても誰も彼も疑問を口に出さずに淡々と目の前の2~3時間程度で出来る仕事を8時間掛けて終わらせるのである。
とてもじゃないがこの異常な光景を目の当たりにして尋常でいられるはずがない。
私が勤めた中小では、常務が社長の代行者として会社に君臨しており、高卒バイトから正社員になって30年という生粋の生え抜き社員でそれを誇りに思っている。
そのため、大卒者院卒者の社員がミスをすると、これみよがしに全社員の前で叱る事を至上の喜びであった。
さらに、そのように失敗を科すために無理難題の仕事をさせ、困惑ないし混乱状態に陥らせ、あまつさえ自分でもこれはというような仕事を、お前らなら出来る!と勝手に思いながら
仕事を任せてくるため、殆どの該当社員は自分は期待されているという想いから無理をして身体を壊してしまい、酷い場合は常務に叱咤激励されて仕事ロボットに成り代わるのであった。
社員への愛情なんて希薄で、常に自分の事しか考えない常務であった。
そしてそれがさも当り前だと言わんばかりに仕事ロボットを徹底しているおかげで誰も彼もこの異常さに口を出す事はない。
会社が狭い所だと、息をするのもよく分かる。
そのため大企業ほど許容がなく、常に台所が火の車なので、心に余裕がない。
私が三度目に勤めた大企業では、前の中小零細が仕事ロボットだった時よりも安息感がある事に気付かされた。
基本的に社長も重役も顔を見せないものの、そこの部長や同僚があれこれ世話を焼いてくれ仕事における報連相が完全マニュアル化されてるお蔭もあって
社長は、社員一人一人を気に掛け毎朝の朝礼で信賞必罰を心がけ、能ある社員を大いに褒め称え逆に無能な人間を公然と罵倒する中小零細特有の悪循環体質でなく、
あえて社長室にふんぞり返って、社員を認めているのであるから、大変社員想いの強い社長なのだと感じた。
中小零細の社長は常に自分と同等かそれ以上の人材を求める割に、実際にはそういった人間を陥れる事に至福の時を感じるものだ。
大企業の社長は自身をより成長させるために社員一人一人の自主性を重んじて、人事も社員教育も部下に任せてあるため、粗相があまりない。
残念ながら真実。大企業にしがみつきたかった。
俺の勤めた中小零細は修士博士が当たり前で(学士は全体の数%程度)上下関係がなさ過ぎるようなとこしかないな。